一問一答Faq

Q

ジャムの離水が気になります。どうすれば改善しますか。

A

ジャムにペクチンを使う理由は固めるだけでなく保水効果も高いためです。ただしペクチンの選定やゲル化因子の過不足、充填温度の低下など様々な要因によって離水は生じてしまいます。HMペクチンとLMペクチンの場合に分けて離水の原因と解決法を紹介します。


1)HMペクチンを使う場合(主に高糖度ジャム)

一般的に糖度60以上のジャムではHMペクチンが利用されています。糖度が高いと離水は出にくいので、ゲルを壊さない限り離水はあまり問題になりません。ただしこのゲルは不可逆的な構造なので一度ゲルを壊してしまうと長期間にわたって離水が生じる傾向にあります。そのため製品の開封後の離水を抑えることは困難です。またジャムが固まった後に崩しながら充填するような製品には向いていません。

原因 解決策
ペクチンのプリセット(充填前のゲル化) ・Brix25以下で溶かす
・充填温度を上げる
・ペクチン添加前の釜の温度を上げる
・酸添加前の釜の温度を上げる
・工程中のpHを上げる
・糖度を調整する
・ゲル化スピードが遅いペクチンを使用する(ペクチンHM
・短時間で充填する
製品のpHが低すぎる ・酸の量を減らす
・ゲル化スピードが遅いペクチンを使用する(ペクチンHM
糖の平衡が悪い ・事前に果肉の糖付け処理をおこなう
・事前に果肉の冷凍やスチーム処理をおこなう
・煮詰め時間や温度を調整する
ペクチンの量が少ない ・ペクチンの使用量を増やす


2)LMペクチンを使う場合

HMペクチンと異なりLMペクチンで作ったゲルは一度壊れても再セットする特徴があります(ただしカルシウムの量が適切な場合に限ります)。それでも糖度が低いほど離水の傾向が高くなり、糖度が40を切るとペクチンだけでは離水の対処ができなくなります。低糖度以下で離水のない製品を作りたい場合は「ローカストビーンガム」のような保水性が高い多糖類の併用もご検討ください。

原因 解決策
ペクチンのプリセット(充填前のゲル化) ・充填温度を上げる
・ペクチン添加前の釜の温度を上げる
・緩衝塩(クエン酸ナトリウムやピロリン酸ナトリウムなど)を添加する
・カルシウム量を減らす(硬水ではなく軟水を使う)
・糖度を調整する
・カルシウム反応性の低いペクチンを使用する(リンゴペクチンLMなど)
・短時間で充填する
製品のpHが低すぎる ・酸の量を減らす
・緩衝塩を添加する
糖の平衡が悪い ・事前に果肉の糖付け処理をおこなう
・事前に果肉の冷凍やスチーム処理をおこなう
・煮詰め時間や温度を調整する
ペクチンの量が少ない ・ペクチンの使用量を増やす